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執筆者の写真さわやか 三田

グループ研修会「認知症」

さわやか介護ステーションの2021年度のグループ研修のテーマは「認知症」です。5.6人のグループに分かれ5回の研修会を行いました。(10月~12月)


高齢者支援の中で、認知症の知識は不可欠なものです。疾患の特徴、当事者の気持ちの理解、そして関わり方について学びました。


我が国では高齢化の進展とともに、認知症の人数も増加しています。65歳以上の高齢者では平成24年度の時点で、7人に1人程度とされています。なお、認知症の前段階と考えられているMCI(軽度認知障害)の人も加えると4人に1人の割合となります。年齢を重ねるほど発症する可能性が高まり、今後も認知症の人は増え続けると予想されています





研修内容の一部をご紹介します


認知症とは?

いったん正常の水準まで達していた知的機能(記憶、認識、判断、学習能力など)が脳神経細胞の減少、機能低下などにより持続的に低下し日常生活や社会生活に支障をきたすようになった状態をいいます。


四大認知症とは? 

  1. 一番多い…アルツハイマー型認知症

  2. 脳梗塞、脳出血などが引き金…脳血管性認知症

  3. 幻視が起こるのが特徴…レビー小体型認知症

  4. 少ないがケアが必要…前頭側頭型認知症


「認知症の本人には自覚がない」は大きな間違い(厚生労働省HPより)


認知症の症状に、最初に気づくのは本人です。もの忘れによる失敗や、今まで苦もなくやっていた家事や仕事がうまくいかなくなる等々のことが徐々に多くなり、何となくおかしいと感じ始めます。


とくに、認知症特有の言われても思い出せないもの忘れが重なると、多くの人は何かが起こっているという不安を感じ始めます。しかし、ここから先は人それぞれです。認知症を心配して抑うつ的になる人、そんなことは絶対にないと思うあまり、自分が忘れているのではなく、周囲の人が自分を陥れようとしているのだと妄想的になる人など。


出典:認知症サポーター養成講座標準教材(特定非営利活動法人地域ケア政策ネットワーク 全国キャラバンメイト連絡協議会作成)


認知症になったのではないか、という不安は健康な人の想像を絶するものでしょう。認知症の人は何もわからないのではなく、誰よりも一番心配なのも、苦しいのも、悲しいのも本人です。


「私は忘れていない!」に隠された悲しみ


現実には、少なからぬ認知症の人が「私はもの忘れなんかない」「病院なんかに行く必要はない」と言い張り、家族を困らせています。早く診断をし、はっきりとした見通しを持って生活したい、本人を支えていきたいと願う家族にとって、本人のこうした頑なな否認は大きな困惑の元になります。


しかし、その他の事柄についてはまだまだ十分な理解力や判断力を持っているのに、自分の深刻なもの忘れに対してだけ不自然なほど目をつぶる理由を考えてみましょう。


認知症の方でも、他の認知症の人のもの忘れが尋常でないということはすぐにわかります。つまり

「私は忘れてなんかいない!!」

という主張は

「私が認知症だなんて!!」

というやり場のない怒りや悲しみや不安から自分の心を守るための自衛反応なのです。


周囲の人が「認知症という病気になった人」の本当のこころを理解することは容易ではありませんが、認知症の人の隠された悲しみの表現であることを知っておくことは大切です。




介護でしてはいけないこと 10か条


1. 怒ってはいけない

苛立ちを抑制できれば介護は楽になります

起こらない秘訣―数を数え冷静になる。その場を離れる等


2. 分け隔てをしない(家での生活)

介護の目的は一緒に生活すること 孤独は脳にもダメージ、症状悪化

孤立感は良くない。家族みんなで一緒に食事する。外出は可能な限り一緒に


3. できることを奪わない

今の能力を生かしてもらう、それが認知症介護の大原則

自信につなげる。できることをお願いする。自信につなげ「必要とされている」という思いを持ってもらう。できたときは、「ありがとう」と感謝。大げさに


4. プライドを傷つけない

叱責や命令口調、幼児に対するような言葉遣い、教えを諭そうとする態度プライドを傷つけ、問題行動を増長

他者に認められることが人間の尊厳の源

敬う心で接する。人生の経験をうやまう。相談し頼りにする。好きなこと、得意なことをやってもらい、自尊心を刺激する。本人から介護者が学ぶ姿勢。


5. 否定しない

頭ごなしに否定せずに主張を受け入れる。否定すると本人は動揺し、孤独と混乱

事実と違っていても本人にとってはそれが真実

本人の世界を受け止め、信じ込んでいることを否定しない。共感や思いやりの言葉をかける。話をうなずいてきく。あいづち


6. 急かさない

加齢に伴い動作が緩慢。早くと言いたくなるが、焦らせるとパニック。普通の人より3倍以上時間がかかると心得る。

やさしく見守り、気長に待つ。話のテンポをあわせる。

介護される側こそが主人公、介護者は支える杖になる


7. 無理強いをしない

入浴や着替えを嫌がる場合でも、強制すると不満が募る。

本人の自主性がなければ意味も効果もない

拒否する理由を聞いて根本的な原因をさぐる。これまでの環境や生活習慣を変えない。一方的な介護ではなく、本人の同意を得てケア。


8. ヒソヒソ話をしない

ひそひそ話しは、認知症の人は内容が聞き取れず疎外感をもつ。「悪口を言われている」と疑心暗鬼。ストレス。症状を悪化。

本人から離れた場所では話さない。小声で話さない。会話を中断しない。

認知症だからわからないだろうと無視する態度は厳禁


9. 自分一人でしゃべらない

心配しすぎて、あれこれ注意、指示したくなるが、認知症の人は一度に多くのことを言われても理解できない。

一度に多くのことを話さない。話を聞く姿勢。先回りをして過剰なアドバイスしない。イエス、ノーで答えられる内容ではなく、話が広がる問いかけ。

多くを語るなかれ、言葉は湾フレーズが有効


10. 頑張り過ぎない

介護は50点以上で合格とする。満点を目指さず真ん中で十分



 介護疲れの予防法 自分を責めない 愚痴や弱音を吐き出せる相手を 息抜きの時間 専門機関に相談 介護はいつかは終わる 自分にやさしく

受講者の感想

  • 今まで何気なく接していましたが、利用者さんの症状を理解して接することの大切さを学びました。

  • 認知症になられた本人の気持ちの不安、苦しさを忘れないよう寄り添うように適切なケアができるように頑張ります。

  • 10か条を再確認して頑張りすぎないようにケアしていきたいです。

  • ひとりで悩まずに相談していくことも大切だと気づきました。

  • 訪問の中で、認知症の方とのかかわりは多いです。改めて研修を受けると頭に残ります。他のヘルパーさんの発言も感心するところがありました。

  • 認知症の利用者さんの困惑や不安に寄り添うように耳を傾け、否定せず、本人の世界に合わせながら生活を支えられるように努めていきたい

  • 共感と笑顔で利用者さんに寄り添う

  • 利用者さんが感情的にならないように楽しくサービスができたらよいと思います。

  • サービスには時間的な制約があり難しい事もありますが、できる限りご本人の気持ちを理解しその方の症状に適したサービスを提供したいです。

  • 認知症の人の本当の心を理解することは簡単ではないけれど共感し肯定し寄り添っていけるように努力したいです。

  • 認知症は特別な事例ではなくケアの現場で日常的になってきています。

  • どのケースでも対応については当てはまるように思います。研修で学んだことを具体的に実践していこうと思います。

  • 知識が中途半端なのでしっかり勉強しようと思います。

  • 自分も物忘れがあります。自分のこととして学ぶことも多かったです。


“認知症の理解”をテーマにヘルパー間で“共感と共有の時間”を持つことができました。


適切なサービスが提供できるように、繰返し、研修することの重要性を感じました。   ありがとうございました。


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